釧路湿原ラムサール条約登録30周年記念イベント「湿原たからばこ」開催

釧路湿原が日本最初のラムサール条約登録湿地となってから30周年を記念して、イベント「湿原たからばこ」を、環境省釧路自然環境事務所、NHK釧路放送局との共催で2010年12月19日(土)に開催しました。釧路湿原を地域の「宝の箱」と考え、将来にわたり引き継いでいくために何が必要かを考える場するために開催したものです。
会場の釧路市民文化会館の小ホールや展示ホールを会場に、釧路湿原に係わるNGOや行政機関等の活動紹介(28団体)や、このイベントのために新たに製作した釧路湿原に関する年表の展示等を行うほか、下記のシンポジウムを開催しました。

シンポジウム「未来へはばたく釧路湿原」
☆ 講演「ラムサール条約と釧路湿原」
講師 : 名執芳博(国連大学高等研究所 上席研究員)
☆ トーク「未来へはばたく釧路湿原」
対談 : 辻井達一(北海道環境財団理事長、KIWC技術委員長)
          新庄久志(環境ファシリテーター、KIWC主任技術委員)
☆ 釧路湿原自然再発表会
発表 : 北海道標茶高等学校
          こどもエコクラブくしろ
          川村礼実(北海道釧路湖陵高等学校)
☆ 発表者の子供達によるパネルディスカッション
コーディネーター : 高橋忠一(元 北海道教育大学釧路校 教授)
アドバイザー : 名執芳博、辻井達一、新庄久志
                    瀬川卓磨(北海道標茶高等学校教諭)
                    佐々木誠治(こどもエコクラブくしろ 代表)
(敬称略 所属は当時)

師走の慌ただしさや積雪による悪路にもかかわらず、地域の住民など約300名が参加しました。ブース展示会場には関係する行政機関はもちろん、釧路湿原で積極的に活動する民間団体の多くが出展し、活動を紹介するパネルや展示物に熱心に見入る来訪者も目立ちました。また、今年はラムサール条約登録30周年を記念したイベントが地域の中でもさまざまに行われたため、会場では関係者同士で情報交換する姿も見られました。
シンポジウムでは、名執芳博氏が釧路湿原保全の経緯を紹介後、辻井達一氏と新庄久志氏がこれからの湿原の利用をテーマに対談、気球の活用や湿原探検等、斬新なアイディアが二人から提案されました。これに続くこども発表会では、地元の小学から高校生の子供達が、湿原植物を利用した水質浄化の研究や外来生物駆除、子供達のラムサール湿地間の交流活動等を通じて、感じたことやこれからの湿原とのかかわり方について、自分達の意見を入れた発表を行っていました。
会場ではその他、地元の人気フォークデュオ「ヒートボイス」の湿原キャンペーンソングのミニライブ、「湿原の画家」として有名な佐々木榮松画伯の作品の紹介、釧路湿原の巨大空撮地図の展示、湿原関連グッズの物販など、イベントのテーマ「たからばこ」の名のとおりバラエティに富んだ催しが行われました。
なお、この事業は(財)北海道環境財団の「アサヒスーパードライ"うまい!を明日へ!"プロジェクトによる寄付記念助成を受けて実施しました。

展示ブース 展示ブース
名執芳博氏講演 辻井達一氏(左)と新庄久志氏(右)の対談
パネルディスカッション 北海道標茶高等学校の発表
こどもエコクラブの発表 川村礼実さん発表

年表「釧路湿原のあゆみ」

釧路湿原ラムサール条約登録30周年を記念し、KIWCでは江戸時代から現在に至る、釧路湿原に関する出来事を年表「釧路湿原のあゆみpdf」にまとめ、2010年12月19日(日)に開催されたイベント「湿原たからばこ」の会場で展示しました。 この年表は、北海道新聞釧路根室版連載企画「不毛の大地 母なる大地(2007年6月〜2008年10月 全58回)」執筆者の佐竹直子記者がまとめた年表をベースに、官公庁発行の郷土史、調査・事業報告書等の出版物のほか、湿原研究者等から集めた情報を元に編集・作成しました。
釧路湿原のあゆみ(年表) イベント会場には縦150p、横幅70pの垂れ幕3枚の上に約130件の歴史的事件が記録されており、釧路湿原や釧路川における開発と治水、保全のおおまかな経緯を知ることができます。