2007年度技術委員会現地検討会(第2回)の実施

2007年9月1日(土)、厚岸町の子(ね)野(の)日(ひ)公園にて、2007年度第2回目の技術委員会現地検討会が行われました。2007〜2009年度のテーマである「湿地生態系にかかわる外来種」の一事例として、近年道内で急速に分布を広げている北米原産のキク科植物・オオハンゴンソウについて、繁茂状況の視察と駆除作業を行いました。
今回の駆除作業は、厚岸町内にある別寒辺牛湿原やあやめヶ原などの景観・生態系保全上重要な地域へのオオハンゴンソウ侵入の防止策として、今年度より厚岸町が実施する試験的なモニタリング調査の一環であり、町内外の住民ボランティアや関係者など、約70名が参加しました。KIWCからは、技術委員を含む9名が参加し、厚岸町担当者による町内のオオハンゴンソウ繁茂状況の説明を受けたあと、モニタリング対象の群落の抜き取り作業を行いました。
作業後の討議では、外来植物の分布の傾向、釧路地域の湿地における繁茂状況などについて情報交換が行われ、生態系保全上重要な地域への侵入阻止や、普及啓発の重要性などが話題にのぼりました。


釧路湿原エコツアー「秋の塘路湖探検」の実施

地域住民を対象としたエコツアーを2007年10月6日(土)に実施しました。釧路市、釧路町、標茶町より19名が参加し、釧路湿原の塘路湖を訪れました。さらにエコツアーを学びに来日中のJICA研修員ら9名も加わり、抜けるような青空の下、カヌーに挑戦しました。
湖畔ではヤマブドウやハマナスの実を見つけたり、森林から湖に流れ込んでいる湧水の量を測ってみたりと、秋の湖の自然を楽しみました。
カヌーで体を動かした後は、「菱の実」を味わいました。夏の間に塘路湖の湖面に繁茂する水草・オニビシの実を一粒ずつ収穫し、ゆでたものです。この実は地元で、保存食や薬として古くから親しまれてきました。初めて口にする参加者がほとんどでしたが、「栗みたいでおいしい!」と、大好評を博しました。
JICAの研修員にとっては来日後これが初めての地域住民との交流となりましたが、力をあわせてカヌーをこぎ、ヒシの実をわけあって、皆とすっかり仲良くなりました。


2007年度JICAエコツアー研修コースの実施

2007年9月25日(火)から11月1日(木)まで、JICA集団研修「自然公園の管理・運営と利用(エコツアー)」研修がJICA帯広国際センターを研修実施機関、KIWCを受入機関として実施されました。 過去5年間の研修実施実績をもとに、今年度より新シリーズの集団研修として、5カ国(ガーナ、キリバス、ラオス、レソト、メキシコ)7名の、観光や環境保全の関係者を迎えました。
研修では日本の自然公園の制度や利用の推進施策、エコツアーの理念などについて学ぶとともに、東北海道の各自然公園を訪れ、カヌーやハイキングなどのエコツアープログラムを体験しました。研修員はこれらの経験や、ツアーの実施者や視察訪問先施設の担当者との討論をとおして、地域振興と環境保全との両立が可能な、自国の自然・文化資源を活用する方法のひとつとしての「エコツーリズム」の導入・推進のための具体的なプランを企画し、研修の最後に発表しました。
研修員は滞在中、ホームビジットや地域住民とのエコツアー、学校訪問などの交流プログラムにも参加し、さまざまな世代の地域の人々とのふれあいを楽しみました。